古楽器(こがっき)とは、西洋音楽(クラシック音楽)において、楽曲が作曲された当時の様式をもった楽器のことを指す。英語では、early instruments(昔の楽器)、original instruments (オリジナル楽器)もしくは period instruments (当時の楽器)、 aurthentic instruments ([歴史考証から]正統的な楽器)というように、ニュアンスに応じていくつかの使い分けがされているものの、全て古楽器のことを指す。これに対して、20世紀ごろから標準的に用いられている様式の楽器を「モダン楽器」などと呼ぶことがある。なお、モダン楽器に比べて機能が低いために、モダン楽器に比べると演奏に制約が多い傾向にある。
年代的には、中世・ルネサンス期・バロック期のヨーロッパの音楽で用いられていた様式に基づく楽器を主にいう。しかし、古楽器の定義の仕方としては、20世紀初頭に大量生産方式が開始される以前に、専門の職人(個人や職人集団)によって手作りされた時期の楽器と定義することもできる。これによると、例えば上記の年代から外れるピアノの場合でも、18世紀後半から19世紀初頭に造られたフォルテピアノや、その後20世紀初頭にモダン・ピアノの規格が世界的に統一されるまでの過程で造られた、さまざまなタイプのピアノを、すべて古楽器として扱うことになる。
中世以降の東西の文化交渉の結果、民族楽器(民俗音楽の楽器)と明らかに関連性のある楽器がいくつか見られ、とりわけ中世の世俗音楽の楽器に中央アジアやアラビア半島起源のものが多い。中にはビウエラのようにその後に西洋の民族楽器として定着したものもある。ただし古楽器という概念は、あくまでクラシック音楽でのカテゴリーであって、民族音楽における伝統楽器と(たとえ重複するものがあるにせよ)同義ではない。
古い時代に製造され、当時そのままの姿で、主に博物館や古い城館、個人の蒐集家のもとに保存・伝承された楽器(オリジナル楽器)もあるが、実演奏においては、それらの楽器の構造や形状・製法・材料を、現物や音楽文献の裏づけによって忠実に再現したレプリカを用いるのが通常である。また、ヴァイオリン属の楽器やヴィオローネなどでは19世紀以降に改造された楽器を、元のかたちや状態に復元して使うこともある。このような楽器も古楽器と呼ぶ。ただし、20世紀前半に、推測や史料考証の誤りから造られたモダン・チェンバロや、弦楽器の「バッハ弓」は、古楽器およびその部品の複製とは認められない。
古楽器の研究・復元は19世紀末ころから始まり、特に1970年代ころから古楽器を用いた演奏とともに盛んとなった。古楽器を用いた演奏を中心に活動している音楽家を特に古楽派などと呼ぶが、古楽器の普及とともに、古楽器の使用範囲は拡大している。パイプオルガン演奏では、いちいち断らないことが多いものの、19世紀以降のシンフォニック・オルガンを用いずに、18世紀以前の教会オルガンを用いてバロック以前の鍵盤楽曲を演奏・録音する傾向が増えつつあり、これも古楽器演奏の一環と見做してよい。
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